こんにちは、管理人のねこたです。
近年話題になっている行動経済学は、我々の生活に深く浸透しており、身近なお買い物をするお店などでも使われています。
知らず知らずのうちに踊らされていることも多く、歯がゆくもあり、人の行動様式の非合理性に諦めをも感じています。
ただ、そんな簡単に人が思い通りに動くのか疑わしい気持ちもあったため、実際に周りの人を使って(悪い)実証してみました。
もくじ
行動経済学とは
行動経済学とは、新しい学問の分野であり、これまでの経済学とは違った観点から人を見、経済を回すのに生かそうというものです。
これによって、より人間のリアルな生態?動向?に沿った経営活動ができるようになりました。
人はそんなに合理的に動かない
これまでの経済学では、「人は利益を追求するために合理的にのみ行動する」という観点から学問が始まっていました。
しかし、行動経済学では「人はそんなに合理的じゃないよ」という観点から話を進めます。
つまり、人は買い物の時に得か損かだけを考えて動かない、という非合理性を含めて、考えたのが行動経済学です。
衝動も見栄も購買活動に影響
行動経済学では、人の思いがけない思考によって起こる行動をもとに、集客や販売促進を計画していきます。
使うのは、思わず手に取ってしまう衝動や手放せなくなる愛着、虚栄心などの人の心理です。
行動経済学の現状維持バイアスは本当にあるのか
行動経済学では、現状維持バイアスと呼ばれる心理作用を用いることがあります。
誰もが陥る可能性のある心理作用で、ネットショッピングなどで使われることがあるものです。
現状維持に執着する心
現状維持バイアスとは、(簡単にいうと)現状維持に執着し、変化に過剰反応してしまう心理作用です。
ビジネスでは、主に商品やサービスを手放せなくすることに使います。
バイアスのビジネスでの使用例
現状維持バイアスを働かせるためには、まず何とかして消費者に商品やサービスを手にしてもらうことが大切です。
そこで、店側は無料体験や返金制度を導入し、手に取るハードルを下げようとしてきます。
無料体験やサブスク
ビジネスで使う実例としては、無料体験やサブスクリプションサービスがあります。
無料体験やサブスクリプションで一度商品やサービスを使わせ、それに執着させることで、継続利用を促します。
「無料だから」「1か月だけ使ってやめよう」というスタート時の気楽さから、消費者は安易に手を出してしまい、そのまま離れられなくなってしまうのです。
全額返金保証制度
「購入した商品を気に入らなかったら返金します」
全額返金保証制度も、現状維持バイアスが使われています。
返金保証は、消費者の心のハードルを下げて、「買ってみようかな」と思わせる制度です。
買う時には「気に入らなかったら返金してもらおう」と思っているのですが、いざ商品を手にしてしまうと多くの人が現状維持バイアスの執着によって返品するのを「まあ、これはこれで悪くないか」とためらってしまいます。
バイアスを体験
(自分に置き換えて想像してみてください)
「損をした!」いや、してないよ
- 1万円拾った後に1万円を落とす
- 1万円落とした後に1万円拾う
上記2点は、結果は全く同じであり、損も得もしていません。
しかし、拾った後に落とした方が、なんとなく損をした気がしませんか?
これが、一度手にしてしまったがゆえの現状維持バイアスです。
人は、すでに持っているものを失うことを恐れるものなのです。
物の価値は愛着によって変わる?
外国で行動学者が行った実験です。
学生をAとBの二つのグループに分け、Aにはマグカップを渡し、Bには何も渡さず、AからBにマグカップを売るように指示しました。
すると、Aはマグカップに高い値段をつけ、Bはマグカップに低い値段を希望しました。
このことから、マグカップを持っているAはそれに愛着を覚え、持っていないBよりも価値を高く感じたことが分かります。
これを保有効果といいます。
現状維持バイアスは保有効果を発生させる大きな要因です。
現状維持バイアスを実際に試してみた
私の友人が、通販でちょっとしたトラブルに見舞われたため、ふと思いつき、現状維持バイアスが働くのか検証してみました。
マンション暮らしの彼女は、ステキなシステムキッチンに合うキッチンスツール(いす)を購入したようですが…。
友人を実験に使う悪ネコ
すると、友人はバツが悪そうに言葉を濁しました。
確かにスツールは彼女のキッチンに2つも要らないようですし、かさばって邪魔そうです。
しかも、1つは全くお金をかけずに手に入ったものです。
また、いすは大きいため、メルカリなどで売るにも梱包や配送で苦労します。
それでも、一度手に入れた2つめのスツールを友人は手放すのが惜しくなり、返事に躊躇しました。
これが現状維持バイアスによる執着です。
友人にネタばらしする
でも、確かに2つも必要ないのに、とても惜しくなっちゃったのよね、不思議!
このように、一呼吸おいて、さらにネタばらしをしたところ、友人は憑き物が落ちたように(言い過ぎ)冷静になりました。
さらに、執着していた2つめのスツールにもあまり魅力を感じなくなったようです。
単なるケチの可能性も・・・
今回は、現状維持バイアスと結論付けましたが、単なるケチで「一度手にしたものは誰にもやらん!」と思っているだけの可能性もあります。
無料で手に入れたとしても、タダであげるのが嫌な人もいますよね。
あと、他の人が得をすると自分が損をした気になる人も。
そういった場合には、2個目を手放すのはいいとしても、1個目に支払った金額を少し取り返そうとして「じゃあ○○円で売るわ」と吹っかける人もいます。
現状維持バイアスはある……けど解放されることも可能
実験の結果、やはり現状維持バイアスは存在しており、簡単に陥ることがあるようでした。
しかし、一度冷静にネタを明かした途端、友人がバイアスから解放されたように、バイアスにとらわれず冷静に判断することもできます。
実際に商業的にバイアスをかけられた時に、自分だけで気づくのは難しいですが、いきなり行動せずに一日買うのを待つ、損得勘定を冷静にしてみるなどの対策は有効です。