私は読書感想文が嫌いでした。
小学校の頃からずっと嫌いだし、実は今でも書評などは書く気にあまりなれません。
私は自他ともに認める読書家であるし、言ってしまえばライター歴10年以上やっているほどの書くこと大好き人間です。
そんな私が(ライターを10年も続けてきた)今になって、ようやく読書感想文について「こう書けばなんとかなるかも」と思うようになってきました。
それでもなお「楽しく書ける!」ではなく「なんとか書ける」「辛い思いせず書ける」程度ですが。
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もくじ
読書感想文の辛いところ・嫌なところ
最初に、私が読書感想文を書きたくない理由、つらいと思う点、嫌いな点を述べます。
「ああ、そうかも、だから書きたくなかったんだ」
と感じた人は、私が今回述べるやり方で書くのが合っているかもしれません。
感動や教訓を得ることを強いられてる感
読書感想文は、学校の宿題として書くことが多いものです。
正直、書きたくない人は外部の「読書感想文コンテスト」などには一切興味がないため、基本的に学校の宿題です。
学校の宿題は、教師が見て評価します。
ついでに教室でみんなの前で読まされるかもしれません。
そのため、「なにかしら良いことを書かねば」と思い、「感動した」「教訓を得た」と言わざる得ない強迫観念に駆られます。
暑くてダルイ夏休みに書かせられるところ
読書感想文といえば、夏休みの課題の定番です。
どうして一体、あの暑いさなかに本を読み、さらに原稿用紙2枚以上の感想など書かないといけないのでしょう?
せめて冬なら、じっくりまったり本を楽しみ、感想だって(やることもないから)書きます。
暑い夏は、アイスを食べるかプールで泳ぐか、何も考えずにのんきに過ごした方が健康的ではないでしょうか。
感想だけで原稿用紙を埋めなければと追い詰められるところ
読書感想文で私が本当に嫌だったのは、「原稿用紙○枚以上」の指定です。
真っ白な原稿用紙を前にして、「これだけの文字数を感想で埋め尽くせというのか!」と立ちすくみます。
いや、感想だけでは400文字も埋まらんよ。
結局、物語の感想って「面白かった」だけじゃん
本の感想って、突き詰めると「面白かった」か「面白くなかった」だけです。
それに肉付けしようとするとグダグダになります。
「○○が面白かったです。」短いな・・・「○○が面白かったです。その理由は○○だからです。」まだ足りない・・・
こんな継ぎ足し継ぎ足しでは文書の構成もおかしくなります。
継ぎ足し継ぎ足しでいいのは、先代から続く秘伝のタレだけです。
あらすじ書いて説明するのって意外としんどい
じゃあ、あらすじも書いて文字数稼ごう、と思っても、意外とあらすじを自分の言葉で説明するのって難しいんです。
ライター歴10年の私も、本のあらすじ、アニメ作品のあらすじを○○文字で要約するのは難易度が高いと感じます。
ましてや小学生、中学生にあらすじまとめろって、そりゃ嫌になるわ。
「読書は感想文のためではない」とつまらぬ意地があって書きたくない
小学生からずっと思ってきました。
本を読むのは感想文のためではありません。
そうでしょ?
それなのに「読書感想文を書かなければならないから本を読みましょう」学校では一体なにを教えているんだ!
わりとまじめにそう考えている学生時代でした。
感想文のための読書って面白くないよね
義務があって本を読む、感想文のために読まなければいけない。
こんな読書は一番モチベーションが上がりません。(しかも暑い夏の真っ盛りに)
本が好きな人だって嫌になるわ。
読書感想文はこう書けば何とかなる(準備編)
ぐだぐだと文句を並べていても、読書感想文は仕上がってくれません。
学生の皆さん、親御さん、とりあえず学生時代は諦めて、できるだけラクに、時間をかけずに感想文をまとめましょう。
苦手でどうしようもなかった私が、学校を卒業して、成人して、学校の先生まで経て数十年。
今こそ分かった感想文の書き方を紹介します。
まずは準備から。ここが割と大事。
(読む前に)本の表紙を見て思ったことを書く
目的:文字数稼ぎ。意外な角度からの視点で高評価も。
読む前から読書感想文はすでに始まっています。()
ただ単に見ただけの視覚的感覚は、あらすじなんかをまとめ上げるよりも実に簡単です。
どんな絵が描かれているか
猫が長靴を履いている
お姫様が塔の上からみつあみ垂らしてる(ラプンツェル)
男の子が何人もいかだに乗っている(15少年漂流記)
など、見たまんまを表現してみましょう。
絵が好きか嫌いか
絵の好みは人それぞれ。
そして、これも重要な感想です。
「エルマーのぼうけん」シリーズの表紙なんて、夜見たらちょっと怖くないですか?
竜がしましまだし、この上なく気色悪い。
でもこんな感想も、立派な感想です。
表紙から「こんな内容かな?」と想像してみる
表紙を見て内容を想像してみるのも非常に役立ちます。
想像しただけのストーリーでしばらくつなぐこともでき、さらに読んだ後の感想の中で「想像と違っていた」「想像通りだった」と言えます。
一度読んだら自分の言葉でザックリあらすじを書いてみる
目的:感想の土台にする。(ライティングでいえば「見出し」になる。)
あらすじをまとめるのはかなり難易度高めの課題です。
だからといってあらすじを元にしないと感想も書きにくいんです。
たとえば、桃太郎の話の場合。
あらすじを書かないと 「桃太郎はとても不思議な生い立ちだけど、カッコよかった。鬼が怖かった。宝物を持ち帰ることができて良かった。」 これではワケが分かりません。 |
では、桃太郎をあらすじ付きで語った場合。
「桃太郎はおじいさんとおばあさんが拾った桃から生まれたのがとても不思議な話だと思った。 桃太郎は鬼退治に行って鬼を倒したのがカッコよかった。鬼ヶ島では鬼がたくさんいて怖かった。 鬼を倒した後に鬼が持っていた宝物を持ち帰ることができて良かった。おじいさんとおばあさんも喜んでいた」 となります。 これなら、大体どんなシチュエーションか想像がつきますね。 そして文字数も増えます。 |
あらすじのポイント:付せんかメモ用紙に1枚あたり1行ずつ書く
あらすじを書くときは、後で順番を入れ替えたり、取捨選択したりするために、紙を分けて書きます。
1枚の紙には「桃太郎が生まれた」
2枚目には「鬼退治にいった」
3枚目には「キジに出会った」
と順不同に書いても、1枚ずつに分かれていれば、メモの順番を並べ替えるだけで順序を整えられます。
人の記憶なんていい加減だから、思い出した順番に書いて、後でつじつまを合わせればいいんです。
あらすじのポイント:落書きの気分で書く
あらすじを書くときは、できるだけ気楽に、落書きでも書くかのように書きましょう。
細かく書こうとすると、もう読書感想文を書くのが嫌になります。
何枚も付せんやメモを消費して、書きなぐっていきましょう。
あらすじのポイント:記憶の力だけで書く(内容の抜けや漏れはどうでもいい)
あらすじは、「15秒でわかる昔話」みたいな感じでとにかく気楽にまとめてみることをおすすめします。
多少内容が抜けていてもいいし、なんなら覚えているとこだけでいいです。
最初と最後だけつじつまが合っていれば十分です。
文章自体は「○○して~、○○して~」とつないでいるので良くないですが、根本的にはこんなあらすじがベストです(?)
余白に自分の思いついたことを思いついた順に書いてみる
やり方:関係するあらすじのすぐ近くに書く。順不同でいい。
目的:自由な発想を引き出す。
あらすじが整ったら、いわゆる「感想」も書いてみます。
ここでも気楽に、思いついたことを自由に書きましょう。
書く場所は、あらすじを書いた紙の余白。もしくは付せんを継ぎ足して。
どうでもいいことも書く
内容はどうでもいいことも書いておきましょう。
というか、むしろどうでもいいことを書きましょう。
「どうでもいいことを書こう」と頑張った方が、「イイことを書こう」と頑張るよりもやる気が出ます。
また、意外といいことが書けることもあります。
屁理屈も書く
屁理屈は、議論の機会を生み、読書感想文を豊かにします。
「いや、キジなんて鬼退治に役立たねーよ」
というところから「何をして戦えばキジは鬼に勝てるのか」と自分の中で議論することで文章を3割増せます。
多少感動っぽいことも書いておくと先生ウケはいい
最後には、「桃太郎はおじいさんとおばあさんを大切にしていて偉い」的な先生ウケの良さそうなことも加えておくのも◎。
反抗期で「オレは教師になんか迎合しない」って場合には要りません。
読書感想文はこう書けば何とかなる(まとめ編)
実際に、準備したものを元に文章を起こしていきましょう。
割とどうにかなります。
最初は本の見た目(表紙・挿絵)の感想を書く
「こんな表紙だから○○だと思ったのに~」
「こんな表紙だから○○だと思ったのが当たった!」
そんな内容で感想をまとめます。
ちょっと気合を入れて桃太郎以外でやってみました。
(理由は桃太郎の表紙で「コレ!」という有名なのがなかったからです)
モモ(ミヒャエル・エンデ)の場合
最初にこの本に出会ったとき、もじゃもじゃ頭の人が不思議な空間を歩いているという謎めいた表紙がとても印象的でした。後から、このもじゃもじゃ頭は主人公であることが分かりましたが、男の子なのか女の子かも分からず、どんなストーリーなのか全然想像できませんでした。
また、主人公が歩いている空間も不思議でいっぱいです。細い線で描かれた街のような部屋のような空間は見る人に不安や落ち着かない気持ちを与えます。私もこの表紙を見てドキドキしました。
表紙の感想だけでも、200文字以上稼げました。
(モモ(桃)から離れられないな)
↑こんな本。
本文のメイン部分を書く
ここから先ほどの付せんやメモを使っていきます。
まずは、ストーリーの出だし部分です。(桃太郎に戻ろうか)
「おばあさんが桃を拾ってきた」
「ももたろうが桃から生まれる」
感想は「ふしぎで面白い。」と「生まれたあと、桃を食べたのか?」です。
桃太郎の導入
桃太郎の話は、最初におばあさんが桃を拾うところから始まります。
おじいさんは山へ芝刈りに行っていて、川で洗濯をしていたおばあさん一人が流れてきた桃と出会いました。
おいしそうな桃を拾ったおばあさんは家に持って帰り、帰宅したおじいさんと一緒に食べようと桃を切りました。
すると中から桃太郎が生まれて、二人はビックリしたのです。
なんて不思議でおもしろい話だと思いました。
私も二人と同じようにビックリです。
でも、落ち着いて考えてみると、桃太郎が出てきた後の桃はどうしたのか、おいしくいただいたのか気になりました。
子どもが中に入っていた桃なんて、私だったら気持ち悪くて食べられないなと思いました。
導入だけで300文字です。
ここまで特別なことは書いていないけれど、オリジナリティある感想になりました。
これをあらすじの付せんごとに繰り返していきます。
文章の締め方
鬼退治で成功を収め、財産家になった桃太郎ご一行。
ストーリー的には「めでたしめでたし」ですが、こちらとしては感想文を締める一大事業が残っています。
文章を締める時には、ここまで付せんでやってきた集大成として、以下の質問を自分に投げかけてください。
- 主人公のこと好き・嫌い?
- 理由は?
- 「もっと○○だったら良かったのに」と思う部分あった?
- (あった人)どこを直したい?
- 他の人にも勧めたい?
- 理由
- で、結局おもしろかった?
以上です。
桃太郎の感想文の〆
この本を読んで、桃太郎をすごいとは思いましたが、きびだんごという物で釣って仲間を作ったところが卑怯で嫌でした。
また、鬼退治をするのではなく、平和的解決の道はなかったのか、少し不満が残りました。
この時代に武力行使という戦い方は合わないと思います。
とはいえ、スリリングで楽しめたのでみんなにも読んでもらいたい気持ちもあります。
不満な点もありますが、全体的にはとても面白い話でした。
読書感想文は嫌いでもなんとか書ける!
読書感想文は、パーツごとに分けると意外と何とかなるものです。
今回は桃太郎(一部「モモ」)でやりましたが、どんな本でも基本は変わりません。
ここまで読み切ってくれた人、あなたはかなりの読書家です。(現在約5,000文字。長いな)
読書感想文が苦手でも、本と文章を楽しむ気持ちは忘れずにいてください。
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