SDGsが注目されるようになってきて、「自分にできることは何だろう?」と地球環境や人権などの問題に目を向ける人が増えてきました。
エシカル消費は、そんな風潮に寄り添うように始まった取り組みです。
個人の買い物という小さな行動で始められるため、子どもから大人まで、資金の有無や住んでいる場所に関係なく実施できます。
もくじ
エシカル消費とは
エシカル消費は、イギリスで創刊された雑誌から始まった言葉、取り組みです。
英語では「ethical consumption」と書き、「倫理的な消費」「道徳的な消費」と訳されます。
人や社会、環境に配慮した消費行動を意味し、より良い社会を作り地球を守るための概念、行動、取り組みを指す言葉です。
地球と人を守る倫理的な消費
エシカル消費は、地球や人、社会を守るための道徳的に正しい消費を意味しています。
買い物をする時に消費者が
「この商品は地球に優しい環境で作られているかな?」「この商品は誰かを搾取していないかな?」
と考えて選ぶことで、地球環境を汚染しながら作られた商品や弱い立場の労働者から搾取された商品を減らすことを目指します。
地球や人に優しい環境で作られた商品を買って使うのは、考えただけでも気持ちいいですよね。
それだけでなく、地球に優しい商品は健康にも良く、安心して使用できます。
SDGsとの関係も深い
エシカル消費は、SDGsの目標との関係も深く、エシカル消費を実施することでSDGsの実行にもつながります。
SDGsは、2015年9月に国連で採択された持続可能な開発目標で、地球や社会にあふれる問題を解決し、持続可能な地球・社会を作っていこうというものです。
エシカル消費は主にその12番目の目標である「つくる責任、つかう責任」に関連しています。
消費行動を通し、製造過程や流通過程に関与し、購入したものを無駄にしないことでSDGsの目標を果たします。
エシカル消費の意義・大切さ
エシカル消費が持つ意味や重要性は、日本でのほほんと暮らしている私たちにはあまり良く見えてこないかもしれません。
しかし、地球のあちこちでは(日本でも見えないだけで)困った人や危機に瀕した動植物がいるのです。
エシカル消費はそうした人々や動植物など、地球上のどこかのだれかを確実に助け、より良い地球を作ります。
労働者の人権を守れる
エシカル消費をすることで、劣悪な労働環境で働く人を助け、障害者などの働く喜びを満たすことができます。
途上国には、児童労働や労働者搾取がはびこり、安い賃金で働いて十分に生活できない人、学校にも通えない子供たちがいます。
また、障害をもった人たちは働く場所が限られ、十分な賃金をもらえないことも多いものです。
そういった弱い立場の労働者の人権を守ることもエシカル消費の意味です。
地球環境を守れる
地球環境や動植物を守ることができるのもエシカル消費の意義です。
エシカル消費を心がけることで、
- 工場から出る排水や煙などに含まれる有害物質
- 農業で使われる農薬
- 絶滅危惧種を脅かすような乱獲や伐採
など、空気や土壌を汚染するリスク、動植物へのリスクを減らすことにつながります。
地域社会や地域経済に貢献できる
エシカル消費は地域社会や地域経済への貢献にもつながります。
安さだけを求める簡単で便利なショッピングだけでなく、地元への貢献も意識して行うのがエシカル消費です。
エシカル消費の具体例・実践例
エシカル消費は、実にさまざまな実践方法があります。
以下のような参考例を元に、自分にできることからエシカル消費を始めてみましょう。
エシカル消費の実践ポイント
- 労働者の権利が守られた環境で作られた商品を買う
- 地球に優しい製造過程の商品を買う
- 地球に優しい流通経路の商品を買う
- 無駄な消費による食品ロスを避ける
- 地産地消を心がける
フェアトレード商品を選ぶ
フェアトレード商品とは、「フェア(公正)」な取引によって仕入れられた商品です。
途上国には、弱い立場であることを利用され、安価すぎる賃金で搾取される労働者がいます。
そうしたアンフェア(不公正)な取引ではなく、適正な価格でフェアに取引された商品で作られた商品をフェアトレード商品といいます。
カカオやコーヒー豆などが有名です。
障がい者雇用企業の商品を買う
立場が弱く、労働できる場が限られた障害者に労働の場を提供し、適正な賃金で労働できる企業や組織の商品を買うことも大切です。
障がい者雇用を積極的に行っている企業や障がい者施設などがあります。
オーガニックでできた商品を選ぶ
オーガニックコットンなど、オーガニックでできた商品は、地球に優しい工程で作られただけでなく、人の体にも優しく健康的です。
オーガニックの化粧品や食品などもあります。
流通経路がクリーンな会社の商品を選ぶ
原材料の仕入れから製造、販売まで、その工程、経路を公開している企業の商品を選ぶのもエシカル消費の一つです。
仕入れから販売までが見えるため、工程を通して地球環境に気を付けているか分かります。
マイバッグ・マイボトルを持参する
マイバッグやマイボトルを持参して、余分なものを買わない、プラゴミを出さない対策も重要です。
必要な量だけ買って捨てない
食品ロスやゴミ問題を解決するためには、買い過ぎない、捨てないことも大切です。
買物は必要なだけ、まだ食べられる・使えるものを捨てない、余ったものは有効活用するなど、小さなことから始めましょう。
リサイクル商品を購入する
リサイクル商品は、ゴミを出さない、ムダな消費を避けるだけでなく、割安でお財布にも優しい商品です。
リサイクルの他、一時期しか使わないものはレンタルを利用するのもおすすめです。
地元で採れた農産物を買う
地元の野菜や果物、水産物は、新鮮で輸送の燃料も少なく済む商品です。
また、地域の振興にもつながり、自分の住む街が活性化されます。
認証ラベルやマークがついた商品を選ぶ
エコマークや国際フェアトレード認証ラベルなど、エシカル消費に関するラベルやマークのついた商品を選ぶことは、簡単で初心者向けのエシカル消費です。
環境を守るマークや森林を守るマーク、生産者の人権を守るマークなどがあります。
環境を守るマーク
- エコマーク
- Rマーク(再生紙使用マーク)
- バイオマスマーク
森林を守るマーク
- FSC 認証
- 間伐材マーク
- RSPO(Roundable on Sustainable Palm Oil)認証マーク
- レインフォレスト ・アライアンス認証マーク
生産者の人権を守るマーク
- 国際フェアトレード認証ラベル
- オーガニックコットンマーク
- GOTS(オーガニックテキスタイル世界基準)
- 有機JASマーク
エシカル消費を始めよう
エシカル消費は、誰でもどこにいても、いつからでも始められる地球に優しい取り組みです。
この取り組みは、地球や途上国の人のためだけでなく、この先ずっと自分や自分の子孫たちが健康で楽しく暮らすためのものでもあります。
みんなが一人ひとり当事者意識をもって、エシカル消費を始めましょう。
「今日はちょっと違う商品を買ってみようかな?」そんな軽い気持ちからでもOKです。
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