個人事業主・フリーランス・副業をしている方は、会計処理の知識があると便利。
確定申告歴10年以上・簿記資格保有の筆者ねこたが、複式簿記で使用する「勘定科目」について、めちゃくちゃ簡単に解説します。
- 確定申告が難しい
- 確定申告書の作成が毎年不安
- 会計ソフトも分かりにくい
- いつも仕訳(勘定科目選び)で迷う
- 申告書に何が書いてあるか分からない
分からないって嘆く前に、勘定科目の種類と使い方をチェックしてみましょうよ。
もくじ
簿記の知識は勘定科目が8割!
乱暴な物言いですが、簿記の知識のメインは勘定科目と言っても過言ではありません。
複式簿記では、勘定科目の分類と使い方を理解してしまえば、仕訳もできますし、そこから派生して試算表や決算書なども理解しやすくなります。
勘定科目が分かると決算書も分かる
勘定科目は、大きく以下の5つの項目に分類されます。
- 資産
- 収益
- 負債
- 純資産
- 費用
これらは、それぞれに決算書のこれらの分類に記載されるので、この分類が分かると決算書まで分かるようになります。
決算書の貸借対照表は資産、負債、純資産をまとめた表ですし、損益計算書は、収益と費用をまとめた表です。
多くの人が会計ソフトを導入している今、決算書を読めないフリーランスもいますが、勘定科目を知るだけで決算書を読み解くことができるようになります。
決算書が読めると、事業経営の問題点や克服すべき点なども見えやすくなります。
勘定科目の5つの分類
よく使われる基本的な勘定科目を5つの分類に分けてみました。
資産 | 流動資産 | 現金、商品、売掛金、受取手形 |
固定資産 | 建物、車両運搬具、土地、機械装置、無形資産 | |
負債 | 流動負債 | 買掛金、支払手形、未払金、借入金 |
純資産 | 資本 | 資本金、事業主借、元入金 |
収益 | 売上、受取利息、受取配当金、雑収入 | |
費用 | 売上原価 | 仕入高、期首商品棚卸高/期末商品棚卸高 |
販売管理費 (いわゆる経費) |
給料手当、役員報酬、外注費、交際費、会議費、水道光熱費、福利厚生費、広告宣伝費、事務用品費、通信費 |
また、勘定科目は自分で自由に設定することができます。
事業内容によっては上記のようなベーシックな勘定科目だけでは分類できないこともあるので、適宜設定しましょう。
もっと決算書のことを知りたい人は、「もうすぐ確定申告!決算書の読み方のことを学んでみよう」もご覧ください。
勘定科目の選び方とよく使う仕訳
どんな取引の時にどの勘定科目を選ぶか、勘定科目の意味や使い方、さらによく使う仕訳を紹介します。
勘定科目の選び方一覧表
資産の部
流動資産 (以下のようなものがあります) |
|
現金・預金 | 現金や銀行口座の預金を示す。入金や出金で使用。 |
受取手形 | 売上の対価として手形を受け取った時に使う |
売掛金 | 未収の売上代金。掛け売りで売上があった時に使う。 |
商品 | 普段は使わない。決算の時に棚卸する |
固定資産 取得費用など |
負債の部
流動負債 ( 以下のようなものがあります) |
|
買掛金 | 商品仕入の未収代金。掛けで仕入れた時に使う |
支払手形 | 約束手形を振り出した時に使う。 |
短期借入金 | 1年以内に返済予定の借入金。 |
固定負債 (以下のようなものがあります) |
|
長期借入金 | 1年を超える返済計画を持つ借入金。 |
純資産の部
資本金 | 株主出資や経営者の持ち出しなどで会社設立時に出資したお金。普段は触らない。 |
元入金 | 個人事業主の「資本金」に当たるもの。資本金とは違って毎年変動がある。 |
よく使われる仕訳
複式簿記では、取引の記帳は必ず「借方」と「貸方」の2つを使って分類していきます。
月日 | 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
12月1日 | 交通費 | 300 | 現金 | 300 | ○○行き |
12月5日 | 現金 | 5,000 | 売上 | 5,000 | 〇商店 |
12月13日 | 仕入(商品) | 2,000 | 現金 | 2,000 | △商事 |
交通費など、経費にお金を消費した場合には、必ず「借方」に経費の勘定科目が来ます。仕入も同じくお金を消費する仕訳ので「借方」です。
そして、反対の「貸方」には現金が来ます。
引落や銀行振り込みの場合は「預金」、掛け取引の場合は「買掛金」も使います。
反対に、現金が増える「売上」の場合には、経費や仕入と全く逆の仕訳になります。
もっと詳しい仕訳方法が知りたい方は「もうすぐ確定申告!簿記のことを学んでみよう」もご覧ください。
むしろ、もう学びたくない、簡単に会計処理を済ませたいという人は「副業・フリーランスの青色申告がラクラク快適に?「弥生会計」のクラウド確定申告ソフトを紹介」もご覧ください。(言い方)
フリーランスが知っておきたい勘定科目
フリーランス、個人事業主が確定申告するのであれば、「家事按分」や「事業主貸」「事業主借」といった個人事業主に関係が深い勘定科目について詳しく知っておくことも必要です。
家事按分とは、個人事業主の自宅の一部をオフィス代わりに使っていた時などに、プライベートでの使用と仕事での使用を分けて(按分して)経費にすることです。
経費に計上できるのは、家賃や光熱費、通信費などです。
また、自家用車を仕事で使っていた場合も取得費用や維持費などを按分できます。
家事按分のやり方
家事按分のやり方は、使用度合いに応じて割合を決めて総費用を割って、経費の分を計上するだけです。
家賃が9万円、部屋の3分の1を仕事で使っていたら、経費にしていいのは3万円となります。水道光熱費なども同様に、使っている割合によって経費を割り出します。
「事業主貸」「事業主借」
「事業主貸」「事業主借」は、個人事業主の個人のお金と事業用のお金が混ざっている時に使います。
例えば、個人の銀行口座を事業に使っていた時、プライベートな出金や入金と仕事での出金や入金の区別をつけるために使います。
銀行預金を帳簿に付ける際には、仕事用の通信費の引落や仕入代金の振込はそのまま「通信費」「仕入」と記帳し、プライベートで使ったヤフオクや通販の代金などは「事業主貸」と記帳します。
反対に、親からの仕送りや児童手当など、仕事と関係ない入金は「事業主借」として記帳します。
元入金
事業主借と事業主貸とともに個人事業主ならではの勘定科目が元入金です。
事業主借と事業主貸は、期首にはゼロ円でスタートしないといけないので、元入金を使って処理します。
計算式は「元入金+所得+事業主借ー事業主貸=次の元入金」
元からあった金額に所得と個人で追加された入金を足し、個人で使ったお金を差し引きます。
こうすることで、事業主借と事業主貸はゼロになり、元入金の金額が変わります。
勘定科目を知ることで簿記や確定申告が身近に
確定申告や簿記、会計の知識は範囲も広いし、あまり一般の人が触れることもありません。
そのため、苦手意識を持つ人も多いことでしょう。
しかし、勘定科目という小さな単位から知っていくと、意外と意味や仕組みも理解しやすく、身近に感じられます。
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